フォーラム2007の概要

写真 フォーラム2007会場風景

プログラム

井植敏淡路会議代表理事の挨拶に続いて、神戸大学大学院国際文化学研究科の須藤健一教授の進行により、3人の講師から基調提案をいただきました。
 まず、最初に資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長の江崎禎英氏は、「地球温暖化問題がCO2削減を主要なターゲットとした結果、あらゆる化石燃料がコストアップした。環境と経済発展の両立を実現させるためには、日本を含め世界は、エネルギー利用効率の向上及び化石燃料に替わる代替エネルギーの探求が必要となった。日本は、世界で最も優れた省エネルギー・代替エネルギー技術をもっており、国際貢献を果たすことが期待される。」旨、述べられました。
 次に、太陽光発電技術研究組合理事長の桑野幸徳氏からは、「現在、全世界に太陽光発電が広がりつつあり、日本でも、2030年には、総電力の約10%を太陽光発電で賄う計画を経済産業省が中心となって進めている。太陽電池生産量では、日本は世界一であり、将来のエナジーギャップに対して、太陽電池を用いたGENESIS(ジェネシス(創世記))計画がある。これは、世界の大きな砂漠に太陽光発電施設を配置し、その間を電気抵抗がほぼ0の超伝導の送電線で結び、世界中の国々に電力を供給するという壮大な計画である。これにより、世界の人口・環境・エネルギー問題を解決できる可能性がある。現在、日本と中国で、シルクロードGENESIS計画を話し合っている。」と、述べられました。
 最後に、オーストラリア農業資源経済局次長のカレン・シュナイダー氏からは、「アジア、特に中国とインドは、エネルギー消費に関し、今後も化石燃料である石炭に高い依存度を維持して行くと予測される。また、世界は、石油供給に関し中東への依存度を高め、IEA(国際エネルギー機関)の推計では、中東での原油生産のシェアは2030年までに40%に達する。」と、化石燃料の需給の現状と予測及び温室効果ガスの排出量が増大することによる環境への影響が述べられるとともに、これらの課題を解決するために「投資体制をオープンで透明性の高いものとし、世界全体で最良の結果を得るためには、中国とインドだけでこの問題に対処するのではなく、国際的な協力やパートナーシップが不可欠となる。」と、述べられました。
 昼食をはさんでのフォーラムの後半は、同志社大学政策学部阿部茂行教授及び神戸大学大学院国際協力研究科片山裕教授の進行により、まず、再生可能エネルギー分野での企業の取り組み事例について、大阪ガス(株)と栗田工業(株)の事例を紹介いただき、その後、メンバー、ゲスト、講師それぞれの専門的な視点から自由な討論が展開されました。
 最後に2日間にわたる淡路会議の締め括りとして、防衛大学校長・神戸大学名誉教授の五百旗頭真氏から、淡路会議声明が読み上げられ、中国・インドを中心としたアジアの経済発展にともない高まるエネルギー需要や環境問題に対処するため、先進国と途上国が協力と信頼関係を築き、日本など先進国がエネルギー環境技術を途上国に提供することや、環境親和性をもつ代替エネルギーの開発と原子力の当面利用の必要性などについて述べられるとともに、それらを実現するための政府、企業、国民個々人の親環境的認識とライフスタイルの革新の重要性について言及があり、フォーラム参加者約60名による賛同と確認がなされ閉会しました。

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