井植敏 代表理事の挨拶

井植敏代表理事

本日はお忙しいところ第1回「アジア太平洋文化賞」並びに「アジア太平洋研究奨励賞」の授賞式にご出席をいただき有り難うございます。また、タイ王国大阪総領事館のチャッカリン・チャヤポン総領事様をはじめ、多くのご来賓の方々にご臨席いただきましたことを大変光栄に存じます。

さて、平成12年8月に設立されました「アジア太平洋フォーラム・淡路会議」では、多文化共生社会の実現に向けての方策を論議するため、毎年8月に国際シンポジウムやフォーラムを開催するほか、様々な活動を展開しております。このたび、授賞式を開催することとなりました文化賞並びに研究奨励賞の創設もその一つであります。

このうち、文化賞は、文化的・社会的な実践活動を通じて、国際交流や地域発展に顕著な貢献をされた個人または団体の方に、また研究奨励賞は、アジア太平洋地域に関する優れた人文・社会科学領域の博士論文をお書きになられた研究者にお贈りするものでございます。

さて、現代を表すキーワードは「グローバリゼーション」だと言われております。いまや、ヒト、モノ、カネ、情報が国境を越えて移動する時代になってまいりました。

しかし、最近、いろんなニュースを見たり聞いたりして感じますのは、グローバリゼーションの進展の中で、世界は一つの価値観の下に統合の方向に向かうというより、逆に、不安定さが増しているのではないかということであります。

現在、私たちは「異文化」と接する機会が、これまでと比較をして大変増えてまいりました。こうした時代だからこそ、「異文化」を理解し、「多文化共生」の重要性が増してきていると言えるのではないでしょうか。

今年の1月に三洋電機グループは、中国の海爾集団公司(ハイアール)と、事業分野での包括的な提携で合意しました。今後、両グループの持つ各々の経営資源の強みを相互に効率的に活用することで、さらにスピードをあげてグローバルな事業展開を進めていきたいと考えております。

両グループが提携で合意できたのは、各々の持っている企業文化の考え方が一緒であったからであります。三洋電機グループの行動基準は「世界に誇り得る仕事」をしていこうということであり、ハイアールは品質重視の経営ということであります。また、従業員を大切にしていくこと、そしてお客様に満足を与える企業経営ということも両者共通の経営理念であります。両者は、世界の人々にとってなくてはならない企業になっていこうという共通のテーマのもとに提携をしたわけであります。

私は、昨年、ハイアールを訪問した際、「馬上行動」というスローガンを見つけて帰ってまいりましたが、三洋電機も当然、スピードをあげて時代の変化に取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

今月、ハイアール訪問のため、1年ぶりに中国の青島にまいりました。そこで、また、新しい言葉を発見いたしました。それは、日に新しい、即ち「日新」という言葉であります。日々に変化が見えるスピードで改革をしていかなければならないということを、私は目で見て帰ってきたわけであります。毎日、何か新しいことをやっていこう、何か変化を起こしていこうというチャレンジングな意識の現れで、この点に関しまして、三洋電機もなんら変わりはないところであります。このように企業活動においても、「異文化理解」や「多文化共生」が多くの場面で出てきております。

2年前に沖縄において開催されました「九州・沖縄サミット」におきましても、グローバリゼーションによる画一化の傾向に対しまして、文化の多様性の重要性が議題としてとりあげられ、結果として、「G8コミュニケ・沖縄2000」に反映されているところでございます。

そうしたことから、アジア太平洋地域において、「多文化共生社会」の実現に貢献された方々の活動や研究を讃え、今後の励みとしていただく目的で創設したこの賞の持つ意味は大きいものがあると考えております。
本日は授賞式に続いて、ピンヨ・スワンキリさんの記念講演、そして、東京からお越しいただきました建築評論家の松葉一清さんのコーディネートにより、淡路会議の常任理事で世界に誇る建築家の安藤忠雄さんとピンヨ・スワンキリさんとの対談も行うこととしております。会場の皆様方には、どうぞごゆっくりとお楽しみをいただきますようお願いをいたします。

最後になりましたが、受賞された皆様方に対しまして、本日ご来場いただきました皆様とともにお祝いを申し上げ、今後のますますの発展をお祈りして、ご挨拶にかえさせていただきたいと思います。有り難うございました。

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