相馬雪香氏の受賞のことば

写真 相馬雪香

相馬 雪香(そうま ゆきか)
  • 【略歴】

    1912年東京に生まれる。39年よりMRA(道徳再武装運動)に携わる。運動の根底にある考え方“他人を変えるには、まず、自分が変わる"を精神的な支柱として、戦後は社会運動に尽力。77年には、民間交流を通して日韓の相互理解を深める目的で「日韓女性親善協会」を設立。さらに、79年には、当時大量に流出したインドシナ難民を救済するため、「難民を助ける会」を設立。現在も、会長として活躍している。会の支援対象もインドシナ難民からアジア各国、アフリカへと広がるとともに、活動の内容も緊急支援から現地での職業訓練センター運営、医療支援、校舎の改築や建築など多岐にわたっている。また、近年は地雷撤去活動にも力を入れている。 長年の功績に対して、93年にエイボン女性大賞、99年に読売国際協力賞(難民を助ける会)を受賞。

90歳にもなりますと、いろいろと思いがけないことがありまして、今度のように「アジア太平洋文化賞特別賞」をいただくなど、夢にも思わないことで、本当に有り難いことと思っています。

この賞は、私がいただいたのではなくて、日本の皆様方のお心のなかにある本当に何かしたいと言うお気持ち、私を支えてくださった方々がいただいたものと思っております。

振り返りますと、自分は何にもできない、本当に周りが全部囲まれているような時代に、人を責めるのではなく、何かすることがあるということを教えてくださったのは、MRA(道徳再武装運動)でございました。

それから今日まで、いろいろなことを通じまして、日本がアジアの一員として、アジアのために何ができるのかということを考えるに至りましたのも、私の反省からでございました。その時から、行動を起こすには時期を待たなければならない、それまでは、毎日、自分の心の中の掃除をしようと考えました。

難民が大量に流出した頃でも、本当に日本の世論はまだそこまでいってなかった、しかし、世論はどうであれ、日本の方々が考えていらっしゃる本当の心は、もっと温かいものがあることを私は信じておりました。そのことを、日本のためにしなければならないんじゃないかと申し上げたときに、手伝ってやるからやりなさいと励ましてくださった方があちらこちらでいらっしゃいました。思わないところから援軍がございまして、ともかく今日までまいりましたのも、そういった多くの方々のお心が動いたからでございます。

先ほど、申し上げましたように、すべては反省から始まりました。反省は自虐だなどとつまらないことを言うのを止めてほしい。反省の無いところに進歩はありません。日本はまだこれからも進歩をして、世界のために役立つ国にならなければなりません。そのために、私のような者でもすることがある、そして助けて下さる方がいらっしゃることを信じて、今日の本当に有り難い授賞式にまいりました。有り難うございました。

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