第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」 受賞者:オトマズギン・ニシム氏 論文要旨

論文タイトル「地域化するポップ・カルチャー日本文化産業の東・東南アジア地域展開 1988-2005」

写真 オトマズギン・ニシム

オトマズギン・ニシム
  • 【経歴】

    2000年、エルサレムのヘブライ大学で政治学、日本学学士を修得。2001年4月より京都大学大学院に国費留学。2007年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、地域研究博士号取得。2007年4月より京都大学東南アジア研究所研究員。社会科学と地域学の方法論を用いて社会現象を分析解釈することに研究の重点を置いている。

(要旨)

日本の文化産業はこの20年の間に、東アジアおよび東南アジア市場に広く普及し、関連商品の消費は拡大してきた。独自の商品とサービスによって同地域に新たな市場を開拓し、文化の商品化という面で、関連企業との協力体制を構築してきた。東アジアならびに東南アジア市場に日本文化が浸透していくにつれて日本に対するイメージも変わり、その結果、日本文化がさらに都会の若者層へと浸透していっている。

本研究の目的は、文化の商品化が地域化に及ぼす影響について探ることであり、そのために、東アジアならびに東南アジア地域における日本の文化関連企業のビジネス活動について20年間にわたって調査を実施してきた。調査は主として、同地域における日本の音楽会社やテレビ局の展開、日本の文化商品市場の形成、日本の文化企業による影響、という一連のプロセスに焦点を当てて行なわれた。本研究では、地域化を国家中心的な施策によるものであるとする考え方におさまらず、文化がもたらす作用によって地域化が進められるという考え方について考察する。

 

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