基調提案1:「減災・人とまちづくりと危機管理」

写真 新野 幸次郎

新野 幸次郎  ●財団法人神戸都市問題研究所理事長
〔概 要〕
   危機が発生してから慌ててそれに対応しようとしてもその管理は極めて不完全なものに終わる。危機管理がある程度まで成功するためには何よりも事前的にそれに対処する諸体制が確立されていなければならない。阪神・淡路大震災の最大の教訓は、このことであった。
ときあたかも、わが国でも比較的遠くない時期に海溝型地震や直下型地震の発生可能性があるといわれ、アジア太平洋地域でもひとり地震だけでなく、各種の災害発生の危険性が警告されている。私は、たまたま、震災5年を契機に設けられた「震災対策国際総合検証会議」の座長と、今回設けられた「震災復興10年委員会」の座長も勤めることになった。後者は目下進行中で結論を得るまでに至っていない。
しかし、私はこの2つの総括・検証を考慮しながら、大震災の減災のためには何が必要であったか。減災と復興のためにどれだけ人が大きな役割をはたすことになったかを説明したい。それによってたんに危機管理だけでなく、安心・安全を保障する条件の解明にも役立つことができれば幸いである。
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