基調提案2:「アジアの食糧安全保障とFTA」

写真 大賀 圭治

大賀 圭治  ●日本大学生物資源科学部教授
〔概 要〕
   我が国食料の海外依存度が深まるのに伴い,開発途上国における増え続ける人口と食糧需要に対して、多くの国民が地球的な規模での資源、環境の制約を懸念されている。
多くのアジア諸国では急速な経済成長の下で食料需要構造が穀物中心から、野菜、果実、畜産物へシフトしてきており、農業生産の多様化、高度化が課題となっている。
豊かになったアジア諸国の畜産物消費の増大に対応した膨大な飼料を誰が生産するのか。米が飼料用に使われるのか、水田を飼料作物生産に転換するのか、それとも輸入に依存するのか、日本農業がこれまで直面してきた問題が今桁違いの規模でアジア農業全体の問題として問われている。また、アジア諸国の食料、農業は、相互依存を深まる一方、条件不利地域における農林地の荒廃が進行する中で、地域住民の生活基盤の維持や食料安全保障あり方が深刻な問題として提起されている。
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