基調提案3:「"アジア30億人の爆発"から食糧危機を考える」

写真 瀬川 至朗

瀬川 至朗  ●毎日新聞東京本社科学環境部長
〔概 要〕
   レスター・ブラウン氏の「だれが中国を養うのか?」は、1995年、刺激的な仮説として登場した。人口12億人の中国が経済成長を続け、米国並みの肉食生活になると、地球規模の食糧危機が不可避になるという指摘だった。私たちは、目覚しい経済成長を続ける中国などアジア諸国を取材して回り、アジアの食糧、エネルギー、環境の現場で何が起きているかを、1996年1月からの連載「アジア30億人の爆発」でレポートした。そのときの取材で、中国の食生活の変化に伴う飼料需要や魚類の需要の増大傾向が見えた。しかし、全体的な食糧需給については、深刻な不足を予測するブラウン氏と、それを否定する中国政府の間に隔たりがあった。 その後、現実はどう推移しているのか。ブラウン氏の説を検証してみたい。食糧生産との関係が指摘される水不足や地球温暖化の問題や、食糧問題を語るうえで欠かせない食糧廃棄の問題にも触れつつ、問題解決の糸口を見つけたい。
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