基調提案4:「アジアにおける飢餓と食糧援助の現状および課題」

写真 玉村 美保子

玉村 美保子  ●WFP国際連合世界食糧計画日本事務所代表
〔概 要〕
   世界の飢餓人口は90年代半ばには7億9,000万人であったが、現在その数は8億5,000万人に増加している。飢えや栄養不良を原因として毎年約1,000万人が死亡しているが、このうち紛争や自然災害の中で死亡しているのは10%未満。また、世界のエイズ・マラリア・結核による年間の死亡者の合計は560万人である。アジアの飢餓人口は5億人で、その経済成長にもかかわらず、他の地域の飢餓人口の合計よりも多い。さらに、アジアの子どもの17%が空腹のまま眠りに就く。 子どもの飢えは脳や神経系統の発達を妨げ、幼少期に十分な栄養を得られなかった代償は一生残る。たとえ生き残って大人になっても生産的な経済活動の担い手になる可能性は低い。飢えた子どもを放置することが人的資源の低下につながり、ひいては国家にとって大きな経済的損失になる。WFPは、飢えた子どもたちへの支援を集中的に行うことが飢餓問題や貧困問題の解消につながると考え、子どもの飢餓撲滅に向けた連帯を呼びかけている。
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