
最終回を迎えた本会議は、まさに集大成にふさわしい内容となりました。開催の背景には、亡くなる直前の五百旗頭先生から受け取った「研究部会が主体となり、最高の形で締めくくってほしい」という稀な電話での遺志がありました。その言葉を受け、外部講師ではなく内部の研究部会に所属する村田先生と私が異なる角度からアメリカの課題に向き合いました。村田先生は、第2期トランプ政権(「またトラ」)がもたらす難題を説きつつ、任期後の政治の若返りに希望を見出されました。対して私は、トランプ氏が関税や貿易赤字解消に固執する背景を、独自の図表を用いて彼の視点から丁寧に紐解きました。議論を通じて共有されたのは「トランプ政権を過度に恐れる必要はない」という前向きなメッセージです。
その後の基調提案では、3名の先生から貴重な示唆をいただきました。𠮷岡先生からはラオス経由での多角的な中国観を、上野先生からはジェンダーに関する新たな認識を学びました。また、室﨑先生からは震災30年の課題を再確認し、特に日本のボランティア減少や寄付指数の低迷という深刻な現状を重く受け止めました。これらの議論が、複雑化する国際情勢や社会課題を考える一助となれば幸いです。
淡路会議は今回で幕を閉じますが、アジア太平洋研究賞は今後も継続されます。かつて学生や研究者と活発に議論した表彰式の光景を思い返し、兵庫県が築いてきた「多文化共生」「アジア太平洋」の伝統を次世代へ繋ぐために、再び貢献したいという思いが芽生えています。長年の感謝を捧げるとともに、来年の表彰式で皆様と再会し、新たな一歩を共に踏み出せることを願っております。