基調提案1

写真 アブドゥル・ワヒード・カーン

アブドゥル・ワヒード・カーン  ●ユネスコ事務局長補(コミュニケーション・インフォメーション担当)
〔概 要〕
   人類にとって文化の多様性は、交流、革新、そして創造性の根源であり、無くてはならないものである。文化の多様性は、まさに人類共通の資産であり、持続可能な成長のための必要条件でもある。私たちは、文化の多様性の重要性を認識し、現在、そして未来の世代のためにも守っていかなければならない。私たちが、文化の多様性に対する寛容の心を育み、対話と協力を促進することを通じてこそ、人類共通の価値である人権、民主主義、平和が保障されるのである。
 文明と文化の衝突がもたらした未曾有の大惨劇であった9月11日の同時多発テロは、文明間の対話が中央舞台にもう一度あがらねばならない主要課題であるという認識を世界に植えつけたと言えよう。
 現在は、情報通信技術の進展により世界がかつてないほど身近になってきている。だからこそ、マスメディアと情報通信技術を活用して、異文化理解と教育を促進し、社会の最底辺層に対しても情報のアクセスを確保するという前向きな取り組みが必要となってくるのである。
 アジア太平洋地域において、ネットワーク化を進め、文化の継承と教育の振興を図り、さらに平和と持続可能な発展を実現するうえで、ITは絶大な威力を発揮する。このことを踏まえ、私どもは、(1)誰もが平等に情報と知識にアクセスできる環境を作り、発展に向けた条件を整えること (2)発展途上国が地域の情報を整備・発信できるように、そのコミュニケーション能力を強化するとともに表現の自由を促進することを提案する。
ページのトップへ戻る