井植淡路会議代表理事による開会の挨拶、井戸敏三兵庫県知事による歓迎の挨拶に続いて、東西センター(米国)上級研究員のアンドリュー・メーソン氏から、「少子・高齢化とアジア経済の行方」をテーマに、記念講演を行っていただきました。
記念講演では、世界各国、とりわけアジアにおいて生じている少子・高齢化にともなう人口の年齢構成の変化により、マクロ経済に及ぼす影響について説明されるとともに、高齢者層の富の蓄積によりもたらされる新たな経済成長の可能性と、日本をはじめアジア諸国が今後取るべき政策について、具体的に述べられました。
引き続いて行われたパネルディスカッションでは、同志社大学政策学部教授の阿部茂行氏によるコーディネートのもと、「アジアに迫る少子・高齢化」をテーマに多面的に活発な議論が展開されました。
東西センター(米国)人口保健プログラムリーダーのロバート・ラザフォード氏は、「高齢者に支援が出来る持続可能な年金や医療制度を整備する必要があるが、多くのアジア諸国は豊かになるまでに高齢化してしまう」と今後のアジアの高齢化に伴う社会保障制度の問題について言及されました。
シンガポール国立大学社会学部助教授のアンジェリーク・チャン氏は、高齢化がシンガポールの経済及び社会に与える影響について、高齢者の雇用・年金・医療費・介護など具体的に説明した上で、「高齢化を止めることは不可能。世代間の生活様式の違い等を考慮に入れた柔軟な政策立案が必要である。」と述べられました。
日本大学総合研究大学院教授で同大学人口研究所次長の小川直宏氏は、日本の高齢化についての歴史的考察と将来の予測を示し、「高齢者が働くことにより、所得が増加するので、若い人が雇用に関して明るい展望を持ち、出産の間隔を短くすることから、出生率が上がる。」と高齢者の就業が日本を救う可能性について述べられました。
会場には、在大阪・神戸オランダ王国総領事、在大阪インドネシア共和国総領事など、計5カ国からの参加者を含む、約200名の参加がありました。