国際シンポジウム2005の概要

写真 国際シンポジウム2005会場風景

プログラム

井植敏淡路会議代表理事による開会挨拶、井戸敏三兵庫県知事代理として齋藤富雄兵庫県副知事による歓迎挨拶に続いて、コーネル大学栄養科学科教授のパー・ピンストラップ‐アンダーセン氏から、「アジアの食糧および農業政策に対する今後の課題」をテーマに、記念講演を行っていただきました。
 記念講演では、アジアを含めた世界が直面している食糧・農業・栄養分野における課題、及びその解決のためになすべき政策について述べられました。
 引き続いて行われたパネル討論では、神戸大学大学院国際協力研究科長の片山裕氏によるコーディネートのもと、「アジアの急成長と食糧危機」をテーマに多面的に活発な議論が展開されました。
 梶原 拓氏は、「人口増加、水資源不足、国土の砂漠化、異常気象などにより食糧問題は危険性をはらんでおり、食糧危機あるいは食糧パニックは、必ず起こると予測する。それに対応することが政治の重要課題と考える。」と、自治体の立場から将来の食糧危機に備える重要性につき、岐阜県の実例をもとに述べられました。
谷野作太郎氏は、「食糧・農業問題を解決するためには、東アジアの経済発展の経験を、中国も含めて、もっとアフリカと共有すべきである。アフリカの農業振興のために日中協力が展開できないかと考える。」と、グローバルな視点からの食糧・農業問題の解決策について意見を述べられました。
深川由起子氏は、「2国間で行うFTAの交渉は、知的財産権の保護、農産品の物流、隣国との資源・環境の保全などを併せて交渉でき、農業貿易の自由化を相互にメリットのある形で拡大することができる。同時に日本の農業も改革ができれば、そのノウハウを他のアジア諸国にも活かすことができる。」と、FTAを活かした日本の食糧安全保障、及びアジアへの貢献について述べられました。
マハブブ・ホイセイン氏は、「アジアでは、南アジアなど地域によっては、人口の絶対数が今後も増加し、水不足や気候変動の問題、及び都市部との所得格差から来る農業離れの問題が食糧危機を引き起こしかねない。また、中国の食糧需要の増加から、世界市場の食料品の価格が高騰すれば、南アジアは困難に直面する。」と、特に南アジアが抱える課題と食糧危機に直面する可能性を述べられました。
山田俊男氏は、「我が国の水田農業の特徴を踏まえた、集落を中心とした「農地利用・農村整備計画」作りを提案し、取り組んでいる。美しい農村景観や環境を守る取り組みを行うこと。地域の実態に応じた多様な担い手を作り上げることが日本の農業政策に必要であり、他のアジアの水田農業を特色とする国々においても同様の課題と考える。」と、国内農業の育成について、日本の農業生産者の視点から意見を述べられました。
会場には、駐日フィジー大使など計7ヶ国からの参加者を含む、約250名の参加がありました。

ページのトップへ戻る