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【共通テーマ:減災社会に向けての新たな視座】

会場 : 人と防災未来センター東館
開催時間 : 13:30~15:00

月日 テーマ キーワード 講師名 所属&役職 講義内容
10月28日(水) 災害時の生活復興と子ども 複雑な生活環境、子どもの健康、震災生活復興 勝木 洋子 神戸親和女子大学発達教育学部教授 複雑な環境での子どもの育ちを、ボランティア体験と円卓会議での聞き取りから現状をまとめた。災害時の生活復興と子どもの健康・環境を、東北3県と兵庫県を比較しながら、子どもの心と体の現状を中心に考察する。生活復興時、置き去りにされがちな「子ども」にとって何が彼らの成長に必要なのかを探った。阪神・淡路大震災復興時をふり返りながら、論を進めたい。
12月2日(水) 生活復興過程における見守り支援とコミュニティづくり~阪神・淡路、東日本大震災復興支援の実践から~ 地域福祉、住民主体、まちづくり、自立支援、社会的孤立 佐藤 寿一 (社福)宝塚市社会福祉協議会常務理事・事務局長 被災者の生活復興の過程では、避難所、仮設住宅、恒久住宅と生活の場の移動を余儀なくされる。そして、そのたびに住民同士のなじみの関係は切れ、新たな関係づくり行う必要が出てくる。大規模災害後の、仮設住宅や復興公営住宅での孤独死の多発や生活不活発病の増加は、このような孤立した状況から生み出されてきた。発災後20年を経過する阪神・淡路大震災後の復興公営住宅や東日本大震災の被災地支援の現状から、住民の自立に向けた見守り支援と地域支援・コミュニティづくりのあり方を考える。
12月18日(金) リスボンの震災復興と都市計画 震災復興、都市計画、グリッドパターン、耐震化 鍬田 泰子 神戸大学大学院工学研究科准教授 東日本大震災後に津波からの災害復興として取り上げられるようになった、リスボン地震の震災復興について都市計画に着目しながら講じる。今から260年前にポルトガルの首都リスボンは、地震・津波・火災で壊滅的な被害を受けた。震災後すぐに遷都しないという方針を出し、緊急対応から新たな都市計画のもとでの震災復興事業を取り組んだポンバルの功績とともに、その後のリスボンの復興過程を講義の中で紹介する。
1月27日(水) 被災者への現金支給をめぐる政治と政策 被災者生活再建支援制度、義援金、政治改革、地方分権改革 手塚 洋輔 大阪市立大学大学院法学研究科准教授 災害によって住宅や家財を失うと、生活の再建の道のりは一層厳しいものになる。それゆえ現在では、そうした経済的損害に対して一定の公的な援助を行うしくみがある。しかし、そのしくみができたのは、ここ20年ばかりのことに過ぎない。なぜなら、それまで国は、私有財産に対しては公的支援をしないという原則を堅持してきたからである。ではなぜ90年代以降、支援制度が整備拡充されたのだろうか。それを可能とした政治的な条件を、同時期に進められた諸改革との関係に留意しながら、探っていきたい。
2月5日(金) 広域巨大災害における住宅復興政策と市街地再生計画 東日本大震災、住宅復興、広域巨大災害 近藤 民代 神戸大学大学院工学研究科准教授 東日本大震災の被災市街地では行政による市街地整備事業に加えて、個人発意による「自主住宅移転再建」が市街地空間を大きく変容させている。津波被災により住宅再建においては移転を余儀なくされる点がその特徴であるが、一方で現地で住宅を修繕して居住している被災者も少なからず存在し、まちは二極化している。このような広域巨大災害の住宅復興や市街地再生計画の実態と課題を概説し、将来の南海トラフ地震に向けた復興への備えについて考える。
2月26日(金) 震災・復興と女性 被災者支援、男女共同参画、防災・復興政策、女性センター 辻 由希 東海大学政治経済学部政治学科准教授 自然災害は、老若男女の区別なく地域住民を襲うが、それがどのような具体的被害に結び付くかについては、社会的な要因が影響を与える。その要因の1つにジェンダーがある。本講義では、関東大震災、阪神・淡路大震災、そして東日本大震災という3つの大震災後の被災者支援活動において、女性たちがどのような役割を果たしたのかを概観し、男女共同参画という視点を導入することが防災・災害対応・復興政策にとってなぜ重要なのかについて検討する。