E 芸術

【共通テーマ:美術展を深く楽しむ-さまざまなメディア・技法・表現】

会場 : 兵庫県立美術館
開催時間 : 13:30~15:00

月日 テーマ キーワード 講師名 所属&役職 講義内容
10月7日(水) パウル・クレー:絵画の仕掛けを紐解く イメージ/物質として見る絵画、クレー愛蔵の「特別クラス」、抽象画 河田 亜也子 兵庫県立美術館常設展・コレクション収集グループ学芸員 スイス生まれで20世紀を代表する画家のひとり、パウル・クレー(1879-1940)の謎めいた側面に迫ります。
作品の下塗りの層や裏側にもうひとつ別のイメージを意図的に“埋蔵”しておくなど、この画家が仕掛けたひそやかな絵画の暗号を紐解いていきます。また、クレー自身が「特別クラス」と定めたかつての愛蔵作品について、近年の研究で明らかになった最新情報を交えてご説明します。
クレーの作品を通して、絵画の新しい見方を発見できることでしょう。
11月11日(水) 「チャンネル6 国谷隆志展」を読みとく6つのキーワード 現代美術、インスタレーション、彫刻の歴史 小野 尚子 兵庫県立美術館教育支援・事業グループ学芸員 「チャンネル」は、学芸員注目の作家をシリーズで紹介する展覧会です。6回目の今回は、ネオン管を使って空間を一変させる国谷隆志氏の作品を展示します。ネオンサインをあえて倒した状態で見せたり、ネオン管に息を吹き込んでその表面を膨らませたりする作家の意図とは。本講義では、6つの言葉を手掛かりに、これまでの作家の活動と、今回新たに制作される展示作品について、様々な方向から考えてみたいと思います。
12月16日(水) ジョルジョ・モランディの探求 絵画、連作、具象と抽象 江上 ゆか 兵庫県立美術館特別展・国際交流グループ学芸員 20世紀イタリアを代表する画家ジョルジョ・モランディ(1890~1964)は、瓶や容器、身近な風景など、ごく限られたモチーフを繰り返し描き続けました。類似した構図で描かれた連作は、一見、非常に似ているように見えて、それだけに比較すると実はそれぞれに異なることが際立ちます。具体的なものを描きつつ、色彩や構図など、いわば絵画の骨格を探求し続けたモランディの作品は、具象や抽象といった枠組みを超えて絵画の本質に迫るものです。このたび県立美術館で開かれる個展に出品されるモランディの作品を軸に、絵画とは何かをあらためて考えます。
1月13日(水) 挿絵を愉しむ-横尾忠則「幻花」原画展のために イラストレーション、印刷物と原画、イメージとテキスト 林 優 横尾忠則現代美術館学芸課学芸員 1974〜75年に新聞連載された瀬戸内晴美(寂聴)による時代小説「幻花」のために、横尾忠則が描いた挿絵は、精緻な細密描写とミステリアスな図像によって、観る者に鮮烈なインパクトを与えます。時にストーリーと無関係な現代的なモチーフや作者である瀬戸内の肖像が挿入されるなど、自由な遊び心が随所に散りばめられたこれらの挿絵について、全330回に渡る連載のあらすじとともに紹介することで、従来の「挿絵」のあり方を超えた横尾作品の特徴とその魅力を明らかにします。
2月10日(水) 谷中安規-幻想の小宇宙 創作版画、1930年代、幻想と怪奇 岡本 弘毅 兵庫県立美術館常設展・コレクション収集グループ学芸員 谷中安規(1897-1946)は、戦中から戦後にかけての混乱の時代、赤貧生活を送りながら独自のヴィジョンを木版に刻み続けた版画家です。幻想と詩情に満ちたその作品は、近年とみに人気が高まっています。兵庫県立美術館では、11月21日から来年3月6日までの期間、常設展示室の一角で小企画展「谷中安規展」を開催します。本講義では、展示の見どころを紹介するとともに、谷中作品の魅力の一端を考察します。
3月16日(水) 富岡鉄斎-近代への架け橋- 文人画、回顧展、近代日本美術、清荒神清澄寺における富岡鉄斎のコレクション 飯尾 由貴子 兵庫県立美術館特別展・国際交流グループリーダー 富岡鉄斎生誕180年を記念して開催する特別展の内容に沿い、富岡鉄斎の画業を1.山水画、2.人物画、3.晩年の傑作 という3つの視点から紹介、江戸末期から大正時代までを文人画家として生きた鉄斎の作品を画中に書かれた賛とともに鑑賞し、作品に込められた鉄斎の思想や思いを読み解きます。また、鉄斎が近代の画家たちにどのように受容され評価されてきたかを、同時代の画家たちによる作品や鉄斎をめぐる言説を紹介することによって考察し、鉄斎の美術史上における位置そして多くの画家たちを惹きつけてきた鉄斎画の魅力について考えます。