E 芸術

【共通テーマ:展覧会が見せるもの-企画者の視点から-】

会場 : 兵庫県立美術館
開催時間 : 13:30~15:00

月日 テーマ キーワード 講師名 所属&役職 講義内容
10月24日(金) 「美術の中のかたち」展に挑戦する-横山裕一展の場合 視覚障がい、美術作品の保存・修復、現代美術、漫画、サブカルチャー 小林 公 兵庫県立美術館学芸員 「美術の中のかたち」展は今回で25回目となる当館恒例の企画です。視覚障がいのある方にも美術鑑賞の機会を提供したいという思いから始まり、現在では視覚に偏りがちな美術鑑賞のあり方を問い直す機会として学芸員ごとに個性的な試みを行う場ともなっています。本講義では、この企画に挑戦するにあたって学芸員が取り組む様々な課題について、展覧会準備の際の実際のエピソードを交えてお話します。
11月14日(金) 目をあざむく美術-「だまし絵」の過去と現在 だまし絵 ダブルイメージ 錯視 アナモルフォーズ 速水 豊 兵庫県立美術館 企画・学芸部門マネージャー ひとの目をあざむくような美術作品を集めて紹介する「だまし絵Ⅱ」展が兵庫県立美術館で開催される。トロンプルイユやダブルイメージ、アナモルフォーズといった古典的なだまし絵的技法は古くからあるが、今回は20世紀以降の現代的な表現に焦点を絞った。過去と現代では作品にどのような違いがあるのか。そして、だまし絵的な表現は、現代においてどのような意義を持つのかを考えたい。
12月12日(金) 「チャンネル5 木藤純子展」をみるための現代美術入門 現代美術  インスタレーション  場への介入 河田 亜也子 兵庫県立美術館学芸員 開催中の「チャンネル5 木藤純子展」にあわせ、現代美術の歴史を紐解きながら出品作品の魅力に迫ります。20世紀には、伝統的な絵画や彫刻といった枠に収まりきらない表現が生みだされました。空間全体にアプローチし、構成するインスタレーションもその一つ。木藤氏の作品もこの手法を用いたものです。このような表現が生まれた背景や文脈を見ながら、実際の作品を鑑賞したいと思います。
1月30日(金) コレクションとテーマ展-「阪神・淡路大震災から20年」の場合 震災と美術、ドキュメントと作品、記録と記憶 江上 ゆか 兵庫県立美術館学芸員 兵庫県立美術館の常設展示室では、一年をⅢ期に分け、テーマを設けて美術館のコレクションを展示しています。コレクションによるテーマ展はどのように企画・実現されているのか、本年度第Ⅲ期の「阪神・淡路大震災から20年」(仮題)を例にご紹介します。この展覧会では、阪神・淡路大震災の後に生み出された美術作品や、美術品の保存修復活動も取りあげます。美術館は作品そして人々の記憶をどのように後世に伝えうるのかという問題についても、あわせて考えてみたいと思います。
2月13日(金) 横尾忠則 大涅槃展 ~涅槃像コレクション大公開 個展、収集物、アーカイブ資料 林 優 横尾忠則現代美術館学芸員 横尾忠則現代美術館では、通常の展示施設のほかに、デザイン原稿や蔵書、掲載紙といった膨大な作品資料を保管するアーカイブルームを有しており、順次、調査・整理公開を行っています。
当館で開催した展覧会におけるこれらのアーカイブ資料の活用の事例について紹介するとともに、横尾忠則の収集物の一つである涅槃像コレクションを紹介する開催中の展覧会について、その企画からオープンまでの過程をご紹介します。
3月13日(金) スイス人画家フェルディナント・ホドラーについて 危機的状況からの復興、世紀転換期、象徴主義、自然との対話 相良 周作 兵庫県立美術館学芸員 スイスを代表する画家フェルディナント・ホドラー(1853-1918)は、19世紀から20世紀にかけての「世紀転換期」の時期に、「パラレリズム」と称する装飾的かつ象徴的な作風により、人物画や風景画に独自の世界を切り開きました。このたび兵庫県立美術館で開催される回顧展にあわせて行う本講義では、そうしたホドラーの作品をスライドでご紹介しながら、貧しい家庭に生まれ、度重なる家族の死や不幸に直面しながらも制作を続けた彼の画業を振り返ります。