研究戦略センター 研究調査部
- research division
自治体災害対策全国会議

全国の自治体職員が被災自治体の災害対応や復旧・復興の取り組みを共有しつつ、今後予想される様々な災害への備えについて考える「自治体災害対策全国会議」について、実行委員会の事務局を担い、その開催を支援します。 開催にあたっては、大規模災害の周年に合わせた被災地での開催や、学識経験者の参画した企画運営、現地視察の重視などにより参加者の参加意欲を高めるとともに、会議結果についてはマスメディアと連携して広く情報発信します。
第14回自治体災害対策全国会議
第14回自治体災害対策全国会議を、阪神・淡路大震災から30年に当たる今年、「阪神・淡路大震災の教訓を生かし、南海トラフ巨大地震に備える」をテーマに10月8日神戸市で開催しました。
| 日時 | 令和7年 10月8日(水)13:00~17:20 / 10月9日(木) 8:45~12:50 |
|---|---|
| 場所 | ラッセホール(神戸市中央区中山手通4-10-8) |
| テーマ | 「阪神・淡路大震災の教訓を生かし、南海トラフ巨大地震に備える」 |
| 参加者 | 235人(1日目:190人、2日目:45人) |
| 後援 | 兵庫県、関西広域連合 |
内容
-
【1日目】
1 開会挨拶主催者挨拶:齋藤 元彦 (自治体災害対策全国会議実行委員会委員長/兵庫県知事)共催者代表挨拶:田中 隆之 (読売新聞大阪本社代表取締役社長)2 基調講演「阪神・淡路大震災を振り返り、巨大地震に立ち向かう ~被害を軽減する鍵」
河田 惠昭(人と防災未来センター長)3 特別報告「防災庁設置に向けた政府の動き」
本間 優子(内閣府防災庁設置準備室企画官)4 基調報告「阪神・淡路大震災からの神戸市の復興について」
久元 喜造(神戸市長)5 パネルディスカッション「阪神・淡路大震災30年~震災の経験をつなぎ、南海トラフ巨大地震に備える」
コーディネーター:阪本 真由美 機構理事、兵庫県立大学減災復興政策研究科教授パネリスト:米山 正幸 北淡震災記念公園総支配人阿部 志郎 兵庫県南あわじ市危機管理部副部長兼危機管理課長村越 淳 高知県黒潮町情報防災課長山田 和彦 静岡県伊豆市危機管理課長5 総括室﨑 益輝 全国会議実行委員会企画部会長、神戸大学名誉教授【2日目】
視察
人と防災未来センター 阪神高速震災資料保管庫
基調講演
-
基調講演で河田惠昭・人と防災未来センター長は、「相転移」という概念を提示しました。これは社会に内在する構造的・制度的脆弱性により被害が劇的に拡大する現象で、過去の大災害では想定の20~30倍の被害になることを指摘されました。阪神・淡路では密集地域での木造家屋倒壊、東日本では避難しなかった人の多さ、近年の水害では床上浸水の増加が相転移になったことを解説されました。その上で、「起こることが分かっているなら対策はできる。相転移を見つけて起こさないまちづくりに取り組むことが事前防災成功の鍵」「自治体も何が地域の相転移になるか自分で見つけなければならない」と訴えられました。

特別報告
-
特別報告で内閣官房防災庁設置準備室の本間優子企画官は、「防災庁が設立されれば、自治体の防災部局も呼応してパワーアップしてほしい」と呼びかけ、「国難級の大災害に備え、相転移となる現象を平時から先回りして見つけて対策を打つことが必要。防災庁では自治体と一緒に地域の弱点を探してつぶしていく」と説明されました。

基調報告
-
基調報告で神戸市の久元喜造市長は、震災復興の取り組みとして、早期のインフラ復旧、復興基金による被災者個人への公的支援など画期的な仕組みを紹介されました。復興の先を見据えた災害に強いまちづくりでは、大容量送水管や下水道ネットワーク整備、全小学校区での防災福祉コミュニティ結成などを説明されました。また防潮鉄扉の遠隔操作、帰宅困難者誘導システムなど先進的な防災DXの取り組みや、能登半島地震での珠洲市へのフルリモート広報支援など、DXを活用した遠隔地からの応援の取り組みも紹介されました。

パネルディスカッション
-
パネルディスカッションでは、兵庫県立大学の阪本真由美教授のコーディネートで4名のパネリストが登壇しました。北淡震災記念公園の米山正幸総支配人は、震災で家族を亡くした母親を見て「二度とこのような人を出してはいけない」と語り部活動を始めたこと、当初反対されていた記念公園が今では地域づくりの拠点になったことを語られました。南あわじ市の阿部志郎副部長は、能登半島地震の教訓から貯留型マンホールトイレや自走式水洗トイレカーの導入、地元集会所での備蓄、小中学校をメイン会場とした防災訓練の実施など実践的な取り組みを紹介しました。黒潮町の村越淳課長は、全職員が通常業務に加えて防災業務を兼務する防災地域担当制を導入したことで、防災対策が圧倒的スピードで進み、町民の諦めをやる気に転換できたこと、さらに食物アレルギー対応缶詰の製作や防災ツーリズムで産業・観光につなげていることを報告しました。伊豆市の山田和彦課長は、学識者が主導する協議会が住民と丁寧に意見交換を進め、津波災害特別警戒区域指定を実現したこと、観光の中心地である松原公園に観光施設と複合した津波避難タワーを建設できたことを説明しました。阪本教授は「災害が起きるのは止められないが被害を減らすことはできます。全員で本気の事前防災に取り組みましょう」と呼びかけて締めくくられました。

総括
-
総括で室﨑益輝企画部会長は、震災30年を「社会変動」「経験風化」「進化」の3つの側面から整理されました。社会変動では能登半島の災害関連死を人口構成の変化という相転移の現実としてとらえることの重要性を、経験風化ではうまくいかなかったことを伝える姿勢の必要性を、進化では防災を文化として育てるプロセスを評価されました。その上で「防災庁設置という転換期に、自治体こそ相転移を考えリアリティある対策を点検すべき」と呼びかけられました。

2日目は人と防災未来センターと阪神高速震災資料保管庫を視察しました。
自治体災害対策全国会議 過去の開催実績
| 回 | 開催地 | テーマ | 挨拶 | 講演 | 報告、その他 |
| 第1回 (H23) |
神戸市 | 広域災害対策と東日本大震災からの復興 | 井戸兵庫県知事 貝原理事長 |
①村井宮城県知事、②佐藤南三陸町長、③室﨑関西学院大学教授、④井戸兵庫県知事、⑤大島JICA副理事長 | ⑥岡本東日本復興対策本部事務局次長、⑦立谷相馬市長、⑧松本福島県副知事、⑨御厨東日本復興構想会議議長代理[鼎談2部開催] |
| 第2回 (H24) |
神戸市 | 広域災害対策と東日本大震災からの復興2 | 井戸兵庫県知事 | ①五百旗頭機構理事長、②丹波福島大学准教授 | [基調]①田中杉並区長、②大西黒潮町長、③本田遠野市長、[特別]武隈内閣府企画官 [3分科会開催] |
| 第3回 (H25) |
神戸市 | 情報システムの構築・活用多様な主体による支援体制 中山間地域における復興 | 井戸兵庫県知事 古屋防災担当大臣(代読) 谷井小千谷市長 | [基調]河田人防センター長 [特別]広田岩手大学教授 |
[基調]①松崎浦安市長、②田嶋串本町長、③谷井小千谷市長 [特別]①柳橋内閣府参事官 ②清原機構副理事長 [3分科会開催] |
| 第4回 (H26) |
神戸市 | 都市災害に備える 災害リスク情報、業務継続 |
井戸兵庫県知事 | [基調]室﨑機構副理事長 [特別]林京大防災研教授 |
[基調]①西川荒川区長、②鈴木三重県知事、③久元神戸市長 [特別]中込内閣府企画官 |
| 第5回 (H27) |
高知県 高知市 |
南海トラフ地震対策 土砂災害の警戒避難体制 | 井戸兵庫県知事 尾崎高知県知事 | [基調]池谷砂防・地すべり技術センター研究顧問 | [基調]尾﨑高知県知事 [特別]兵谷内閣府審議官 [分科会開催] [現地視察]意見交換:大西黒潮町長 |
| 第6回 (H28) |
神戸市 | 大規模災害対策と自治体連携 | 井戸兵庫県知事 読売新聞大阪本社社長 | [特別]片田群馬大学大学院教授 | [基調]①蒲島熊本県知事 ②松井広島市長 [特別]小松内閣府企画官 [パネルディスカッション2部開催] |
| 第7回 (H29) |
新潟県 長岡市 |
被災者支援と災害復興・地域創生 | 金澤兵庫県副知事 米山新潟県知事 | [特別]寒川産総研名誉リサーチャー | [基調]室﨑兵庫県立大学大学院教授 [特別]櫻田総務省企画官 [パネルディスカッション2部開催] |
| 第8回 (H30) |
神戸市 | 巨大災害に対処する | 金澤兵庫県副知事 読売新聞大阪本社社長 | [基調]河田人防センター長 [特別]堀内閣府SIPプログラムディレクター |
[基調]飯泉徳島県知事 [特別]髙橋内閣府企画官 [パネルディスカッション2部開催] |
| 第9回 (R1) |
三重県 四日市市 |
伊勢湾台風60年~大規模風水害等への備え | 井戸兵庫県知事 森四日市市長 | [記念対談]鈴木三重県知事、河田人防センター長 [基調]平石京大防災研教授 |
[基調]三村広島県熊野町長 [特別]相沢国土交通省課長補佐[パネルディスカッション2部開催] |
| 第10回 (R2) |
オンライン | 自治体や地域の災害対応力を強化する | 井戸兵庫県知事 読売新聞大阪本社社長 | [基調]林防災科研究理事長 [講話]室﨑兵庫県立大学名誉教授 |
[基調]①品川郡山市長、②平井鳥取県知事 [特別]井上内閣府参事官 [パネルディスカッション開催] |
| 第11回 (R4) |
長崎県 島原市 |
雲仙普賢岳噴火災害30年 地域社会における災害への備え | 齋藤兵庫県知事(ビデオレター)、平田長崎県副知事 | [基調]①清水火山噴火予知連絡会長、②室﨑兵庫県立大学名誉教授 | [基調]古川島原市長 [特別]朝田内閣府参事官 [パネルディスカッション開催、現地視察] |
| 第12回 (R5) |
神戸市 | 教訓から学び伝え、先端技術を活用する | 服部兵庫県副知事 読売新聞大阪本社社長 | [基調]臼田防災科研総合防災情報センター長 | [基調]蒲島熊本県知事 [特別]①髙嶺内閣府参事官、②根本デジタル庁企画官[事例報告2部開催] |
| 第13回 (R6) |
仙台市 | 東日本大震災の教訓と課題 これからの防災に生かす | 池田兵庫県防災監 村井宮城県知事 | [基調]今村東北大学副理事・教授 | [基調]佐藤南三陸町長 [特別]森久保内閣府参事官 [パネルディスカッション開催、現地視察] |
| 第14回 (R7) |
神戸市 | 阪神・淡路大震災の教訓を生かし、南海トラフ巨大地震に備える | 齋藤兵庫県知事 読売新聞大阪本社社長 | [基調]河田人防センター長 | [基調]久元神戸市長 [特別]本間内閣官房防災庁設置準備室企画官 [パネルディスカッション開催、現地視察] |


